『薩長盟約 立役者は誰だ』

山岡 悦郎


定 価: 1,980円
発売日: 2018年1月22日
判型/頁: 四六判 並製 288頁
ISBN: 9784906822775

数学的論理学を専門とする著者が、幕末維新史30 年を見据えながら、残された史料から読み解く、まったく新しい視点の歴史研究書!!

◉序 章 薩長盟約・前史
◉第一章 薩長盟約までの歴史の流れ
◉第二章 薩長盟約運動の展開
◉第三章 薩長盟約の立役者は誰か
◉第四章 薩長盟約の果たした役割

<新視点からみた「薩長盟約」の立役者>

 私が論じたかったのは、第一に、薩長盟約(同盟・連合)の立役者は誰か、という問題である。ついでに、新説「(坂本)龍馬エージェント説」は正しいのか、という問題も取り上げた。
 立役者の問題について言えば、幕末維新期に関する一般的解説書・伝記・テレビドラマをはじめとして、中・高の歴史教科書でも、龍馬立役者説が支持されているようである。
 問題は、その際、根拠・理由が添えられておらず、この説には信憑性がないという点である。私は、そのような龍馬立役者説を史実として子供に教えることに疑問を感じている。 そもそも、薩長盟約の立役者の問題が正面切って論じられたことは、これまでなかったように思える。それで、教科書のこともあり、今回、この問題を取り上げた。
 私は、立役者の問題を、①これまでの優れた研究成果と一次史料になるベく依拠する、②なるべく論理的に厳密な議論をする、の二つを心掛けて考察し、結論を導き出した。

<「龍馬エージェント説」を検証する>

  かなり刺激的な説であるが、龍馬の貢献を考える場合、この説の正当性を一度は吟味する必要があるであろう。だが、これまで検討された形跡がない。
 そこで私はこの新説の正当性も検討し、龍馬エージェント説は間違いであるとの結論を得た。 上記二つの問題に関して、私の得た結論はあくまで一つの仮説にすぎない。だが私は、現時点ではいちばん蓋然性の高い仮説であると信じている。
 拙著はペリー来航から廃藩置県までを扱い、その流れのなかで、立役者の問題と龍馬エージェント説を検討した。したがって、厳密さを尊ぶ議論は一部分であるにすぎない。
 残りの部分は、回想記やエピソードを交えての話である。全体的にみれば、拙著はごく一般的な幕末維新史の書である。ただ、厳密な議論と回想記やエピソード類の話が並立しているというのが、類書と違う点である。

●山岡 悦郎(やまおか・えつろう)

1945年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学文理学部数学科卒業。のち、哲学に転じ、広島大学大学院博士課程単位取得退学。現在、三重大学名誉教授。現代英米の分析哲学、数学的論理学の研究を経て、ここ15 年は薩長盟約の研究を続けている。主な著書に、『現代真理論の系譜』(海鳴社)、『哲学的探究』(晃洋書房)ほかがある。

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