『日本史の新たな見方、捉え方』

ーー中世史からの提言

五味 文彦


定 価: 2,640円
発売日: 2012年10月25日
判型/頁: 四六判 上製 320頁
ISBN: 9784906822010

日本史の流れを理解する道筋を求め、新たな歴史像を 模索してきた営為を提示し、今後の課題は何かを示す。

◉第1章 中世を広げる—時代の思潮
(中世の思潮時代への新たな切り口 ほか)
◉第2章 中世から考える—地域の力
(中世の分権の黎明—鳥海柵の歴史的位置
館の社会としての平泉 ほか)
◉第3章 史料から探る中世—つながる史料群
(金石文からの読み—藤原顕長銘壺を手がかりに
紙背文書から透けて見える—大江広元と品川 ほか)
◉第4章 テーマで語る中世—信仰と中世人
(『春日権現験記絵』と貞慶親鸞とその時代 ほか)

<研究雑感>

 一九九四年に発表した「神護寺薬師如来像研究雑感平安時代初期の山と薬師──」(『美術研究』三五九号)という論文で仏像と空間の関係に着目して以来、仏像を空間のなかに置最近は、頼まれるままに原稿を書き、講演を行なうために、史料を読み、研究論文などを探ってゆく作業が続いている。それらがいつしか関連性を帯びて、今までわからなかったことが、ひょんなことから読み解けるという経験をしばしばしている。
 たとえば歌を史料として扱う試みからこのところ三冊の本を出版したが、もともとそれも後鳥羽上皇の評伝を依頼されたことから発するものである。歌のなかでも時代を反映する流行歌、すなわち今様を通じて上皇の祖父である後白河法皇の伝記を探って著し、後鳥羽上皇が編んだ『新古今和歌集』に最も多くの和歌を採った西行について考え、後鳥羽上皇の評伝を数多くの開かれた歌会や歌合のあり方から探った。
 こうした段階で、以前から依頼されていた本書の出版を急いでくれないかとの注文が入ったのである。忙しい毎日の始まりとなったが、現代との関わりが深いテーマであることから、多くの関心が寄せられ、それなりの手応えがあって、嬉しい限りである。さて本書への反応はいかがであろうか。

●五味 文彦(ごみ・ふみひこ)

1946年、山梨県生まれ。1968年、東京大学文学部卒業。東京大学教授を経て、放送大学教授。専門は日本中世史。多様な史料と考古学の成果を利用しつつ、日本の中世を広い視野で捉える研究をつづけている。

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