『「けいはんな」から日本史を考える―「茶の道」散歩』
小路田泰直
「けいはんな」とは、京都・大阪・奈良の3府県にまたがる学研都市。いわば西の「つくば研究学園都市」である。
この「けいはんな」には、難波宮も平城も恭仁京も長岡京も平安京もある。まさに古代日本の「まほろば」の地だ。
EXPO 2025を控えて、今、2000年近くこの国の中心でありつづけてきた「けいはんな」の中心性が揺らいでいる。東京一極集中が進むなか、「けいはんな」は経済的にも文化的にもその流れに吞み込まれ、中心性を喪失しつつある。「けいはんな」が中心性を失うから、この国全体が多様性を失い、モノカルチャー化の悲劇に見舞われつつある。
今世界平和のために何をすべきかを、この「けいはんな」の地から発信する。
<目次>
第一章◎日本史の新しい見方――「けいはんな」の視座から
第二章◎「茶の道」へ――散策と思索
第三章◎茶の湯と市民社会の形成――「悟り」の変容から
第四章◎市民社会の進化と明治維新―― 抹茶から煎茶へ
第五章◎江戸・東京の意味
第六章◎EXPO 2025に向けて、地域の歴史を振り返ることの意味
●小路田 泰直(こじた・やすなお)
1954年生まれ。奈良女子大学STEAM・融合教育開発機構特任教授。研究分野は 日本近代史。
おもな著書に『日本史の思想― アジア主義と日本主 義の相克』(柏書房)、『「邪馬台国」と日本人』(平凡 社新書)、『日本近代の起源―三・一一の必然を求めて』(敬文舎)、 『日本史の政治哲学―非西洋的民主主 義の源流』(かもがわ出版)がある。 專門分化し視線では見えないものが、地域や生活の場にはある。それを読み解くための歴史学を今は目指している。
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