『天下人秀吉の時代』
藤井 讓治
「天下とはどこのことか」「私戦禁止の惣無事令は本当に出されたのか」「身分統制令とは何をめざしたのか、そして奉公人とはどんな身分だったのか」「朝鮮出兵ははじめから目論んだものだったのか」など、教科書的に常識とされている秀吉の政策を、綿密な史料考証から明らかにする。
【目次】
◉第一章 「天下」とはなにか
◉第二章 秀吉の関白任官をめぐる政治ドラマ
◉第三章 「家康成敗」に関する秀吉書状―小牧長久手から家康臣従まで
◉第四章 「惣無事令」はなかった
◉第五章 いわゆる「身分統制令」はなにをめざしたのか
◉第六章 豊臣期の奉公人―奉公人身分の創出
◉第七章 豊臣期「奉公人」の歴史的位置
◉第八章 秀吉の朝鮮出兵
◉第九章 「唐入り」構想の放棄と結末
●藤井 讓治(ふじい・しょうじ)
1947年、福井県生まれ。京都大学大学院後期博士課程単位取得退学。京都大学大学院文学研究科教授などを勤め、現在、京都大学名誉教授。専門は日本近世政治史。古文書・古記録など一次史料をもちいて近世前期の政治史、権力構造を奇をてらうことなく明らかにするよう取り組んでいる。主著書に『江戸幕府老中制形成過程の研究』(校倉書房、1990年)、『徳川将軍家領知宛行制の研究』(思文閣出版、2008年)、『戦国乱世から太平の世へ』(岩波新書、2015年)、『徳川家康』(吉川弘文館、2020年)ほかがある。